キーワード・タグ 路地裏にひっそりと佇んでいる小さな喫茶店を舞台にしたタイムトリップ物語は、多くの人に感動をもたらしました。4回泣けるという帯の宣伝通り、泣けるポイントの多い本作のあらすじなどを、ネタバレとともに解説いたします。 第1話「恋人」で主役を務めるのが、キャリアウーマンの清川二美子と、賀田多五郎。賀田多は顔に大きな火傷があるというコンプレックスを抱えており、それが物語のなかでキーポイントとなっています。
過去にタイムトリップするには、いくつかのルールを守らなければなりませんが、時間を飛ぶためのコーヒーを淹れるのは、彼女の役目。ルールを守らなかった場合、起こる弊害への対処もおこなっています。少々わかりづらいですが、作中で従妹と明言する場面があるので、数の性別は女性です。
彼女の従兄で、喫茶店のマスターを務めるのが時田流。長身で無口、無愛想ではありますが心根の優しい人物です。そんな彼の妻が、時田計。自由奔放な性格ですが、心臓に持病を持っており、定期的に病院に通っています。計とも病院がきっかけで知り合いました。
1話から3話は、喫茶店を訪れたお客さんを中心とした物語でした。しかし第4話「親子」は趣旨が代わり、喫茶店の店主である時田流・計夫妻のエピソードが語られます。計は生まれつき心臓が弱く、激しい運動をしないように気をつけながら生きてきました。そんな時、病院で出会ったのは、交通事故に巻き込まれたのに、無傷だったという流。その頑丈さに感動した計は、17歳にして初めて恋に落ち、そして3年間の交際を経て結婚、計が20歳、流が26歳でのことでした。物語は第3話が終了してから2週間後、妊娠中の計は体調が思わしくありませんでした。生来身体が弱いうえに、妊娠が負担になっているとのこと。出産に耐えられないと医師から言われていますが、彼女は中絶を拒み、絶対に産むという決意を固めていました。子どもを産みたい。けれども、自分は耐えられず死んでしまうことはわかっている。生まれてくる子どもは、本当に幸せになれるのか、寂しくて泣いてしまうのではないか、自分がいない未来を考えて不安になった彼女は、入院を決意したその日に、数にコーヒーを淹れてくれるように頼みます。未来に飛んだ計を出迎えた喫茶店は、様変わりしていました。流や数の姿はなく、見知らぬ男女が切り盛りをしています。そこに、ある少女が帰ってきます。彼女は、少し前に計のいる時間に、未来から飛んでいったというのでした。計の顔を見ても反応が無く、誰か別の人の子どもなのかと思っていたところ、北海道にいるという流の電話から、彼女が自分の娘であることを知るのです。実際にはかわすことができない、未来の娘との会話。その感動の内容は、ぜひ実際に読んでお確かめください。また、店を切り盛りしている男女の正体も気になるところ。ここでも、伏線の回収がおこなわれています。本作の大きなテーマは、絆。恋人、夫婦、姉妹、親子など、関係性は違っていますが、物語全体から、さまざまな人の絆を感じ取ることができます。しかし絆を描くだけなら、ルールはあるものの、時間を移動できるという設定にする必要はありません。
そして、第4話に登場するのが、計と流の娘である、ミキ。最終話は過去ではなく未来に飛ぶ物語なので、まだ生まれていないミキの、成長した姿を見ることできます。
時間移動をしたいという希望を持った人は、いったいどんな感情を抱いているでしょうか。本作に登場するタイムトリップ経験者は、どこか後悔や自責の念を抱えながら喫茶店を訪れ、一縷の望みをかけてコーヒーを飲んでいます。
全国の書店の投票で決定される本が売れない時代と言われているのにも関らず、この本はなぜ売れたのでしょうか?ここでは目次ひと気のない――とある路地裏にひっそりと佇む小さな喫茶店『フニクリフニクラ』。この喫茶店には都市伝説があります。それは、 『現実は変わらないかもしれないが、それでも時間を移動したい』――そう願った4人を題材にしたお話。次項ではメインの登場人物を紹介していきます。『コーヒーが冷めないうちに』の登場人物は喫茶店で働くスタッフ、常連客、都市伝説を信じて来店する者で構成されています。 『コーヒーが冷めないうちに』は4つのメインテーマがあります。 キャリアもさることながら、誰もが目を引くプロポーションの清川 二美子。彼女はある日、恋人である賀田多 吾郎(かただ ごろう)に「アメリカに行く」と告げられる。吾郎のあまりに突然の告白に、二美子は投げやりな態度を取ってしまうが、後々酷く後悔してしまう。そんなとき喫茶店の“過去に戻れる”という都市伝説を聞いて... 若年性アルツハイマーを患う房木はいつも傍らに茶封筒を持っていた。聞くと、「妻に渡したい手紙」だと言う。房木は過去に戻りたいが、タイミングが合わず“時間を行き来できるテーブル”になかなか座れない。そんなとき、房木の妻・高竹が手紙のことを知って... 喫茶店の常連客の平井 八絵子は18歳のとき、家業の旅館を継ぐのを拒み実家を飛び出す。結果、旅館は妹の平井 久美(ひらい くみ)が若女将となる。久美は八絵子に「実家に戻ってきて欲しい」と度々説得を続けるが、毎回はぐらかされていた。そんなある日、久美が交通事故で亡くなったという報せが... 時田 計は時田 流の子を身篭っていた。しかし持病の心臓病のため、出産には「死」というリスクが伴なってしまう。生まれてくる子供に一目でも会いたいと思った計は10年後の未来に行くことを決心する...ここからは、あくまでも個人的感想(しかも超辛目である)になりネタバレもあるので、これから読みたいと思うひとは、ここでストップしていただきたい……。 『コーヒーが冷めないうちに』は"つまらない"というより、“いい大人が読むべき小説”ではないと思う。タイムトラベルネタは好みが分かれると思うが、SF慣れしていない僕にはとても新鮮で、プロローグまでは楽しんで読めた。 しかし、話を読み進めていくうち、登場人物の行動や言動に違和感を感じた。挙げればキリがないのだが、アルツハイマーの症状が明らかに進行している旦那を1人で帰宅させ、喫茶店の店員と酒を飲む『看護師』の女性。デリカシーとかそういう問題ではなく、ありえない。 僕の祖父がアルツハイマーを患っていたということもあるが、このシーンは怒りを通り越して呆れた。 極めつけは最終話の「親子」という話。毎度、定期健診に行っているのだから出産のリスクは夫婦共に分かっていたはずだ。旦那の時田 流がチャラ男なら話はまだ分かるが、彼は『無口で優しい男』という設定だ。彼なら「子供は作らず夫婦だけで仲良くやっていこう」と言いそうなのだが、シレっと子作りに励み、その結果妻は死んでしまうのである。 この話で流を始め、登場人物のほとんどが胡散臭い連中にしか見えなくなってしまった。話に説得性を持たせるのであれば 小説というのは1つ違和感を覚えると全てが崩壊してしまう。もちろん、完璧な読み物などないので、流すところは流せるが、『登場人物が人物設定から大きくかけ離れた行動を取る』など重大な欠陥があると感情移入できなくなるのだ。 また、泣かせるためにあざとく、使い古された設定(記憶障害、死、リスクのある出産)なども読んでいて冷めてしまう。まるでそんなノリがずっと続くため、登場人物が『次にどんな台詞を言うのか』がページをめくらなくても分かってしまう。 悪い意味で期待を裏切らない小説だった。書籍サイトのレビューを見てみると「中高生が好きそう」と書いてあったが、冗談じゃない。今の中高生はもっとマシな小説を読んでいる。この小説が売れた理由は単に「マーケティングが上手かった」だけだ。無理矢理にでも良いところを挙げるとするならば、台詞が多いので読みやすいといったところか。こんな小説が本屋大賞に選ばれるのは本当に嘆かわしい。これからは日本の文芸界の質を落とさない選出をしてもらいたいものである。 と、この小説をぶった切ってしまったが、本音である。きっと好みはあると思うので、あえて言うなら単純に、この記事が気に入ったらフォローしよう最新情報をお届けしますTwitterでフォローしよう© Cafend All Rights Reserved.
それは店にある特定の座席に座ると、その席に座っている間は希望する時間へ移動することができる、というもの。タイムトリップには、めんどくさいルールを守らなければなりません。