相撲こそ最強の格闘技. 「足腰の強さは本当にすごい。独学なので正解が分からないが、マネしてやってみたりしています。相撲の取り口は全然違いますけど、足腰の強さを見習うところはある」と、小さな体にとっての生命線に …
格闘技の稽古をしているまたは興味のある者が、「最強の格闘技は何か」を考えたことを一度はあるはずだ。この記事では、最強の格闘技を論理的に考察し、ある1つの結論を出した。目次もし「最強の格闘技」を決めるなら、ある程度の決め事を確立させておかねばならない。本当の最強を決める場は、「実戦」だ。つまり、ストリートファイトの場である。ここでは、特に有名な格闘技、また最強の格闘技として名高いものを取りあげる。そして、それぞれの格闘技が、最強になり得るかも説明していく。日本を代表する武道の一つでもあり、突き・蹴り・打ち技の打撃技主体の武道だ。 ※空手の流派の詳細については、組手の基本的なルールは、以下の通りだ。■伝統空手■フルコンタクト空手■防具付き空手 よく「空手道のなかでは、極真空手が最強だ」と言い切るものがいるが、そうとは限らない。 空手道が、最強の格闘技かといわれると、疑問が残る。 ただし、柔道は、投げ・絞めなどの柔術主体の武道で、空手と同じく日本を代表する武道である。オリンピックの正式種目でもある。 柔道が最強の格闘技かについては、疑問に残る。現在では、打撃技の練習はほとんど行われていないからだ。関節技や絞め技・固め技・投げ技主体とし、体格に関係なく合理的に相手を制することができる武道。「小よく大を制する」の言葉を具現化した武術だ。合気道には試合がない。総合格闘技でも合気道にある関節技は、反則となる技もある。なぜなら、合気道で用いられる関節技は、致命傷と成り得る危険な技が多く含まれるからだ。合気道が最強の格闘技とは言い切れないが、最強の格闘技を作り上げるのに、合気道の技は欠かせない。※ここでは、オリンピックに採用されている「アマチュアレスリング」のこととする。 2人の競技者が素手で組み合い、相手を倒す・投げる・持ち上げるなどして、相手の両肩を床に1秒以上つけることを勝利の条件とする格闘技。打撃技、関節技、絞め技は禁止されている。レスリングの歴史は他の格闘技に比べて古く、紀元前3000年には競技として存在したとされている。 レスリングが最強の格闘技については、これも疑問が残る。ボクシングは、手技のみの打撃で相手の上半身を攻撃のターゲットとして、相手をノックアウトまたはテクニカルノックアウトをさせて勝敗を決める格闘技。ノックアウトで勝敗が決まらない場合は、審判による判定で勝敗を決する。3分間の12ラウンドという競技の時間の長さも特徴。 発祥国は古代ギリシャ。紀元前4000年頃から古代エジプトで行われていた。ローマ時代では観客が喜ぶために、どちらかの選手が死ぬまで試合が終わらない競技ルールがあった。 ボクシングは最強の格闘技とはいえない。まず、足技が禁止されているからだ。手技しか訓練をしないので、足技に対するカウンターなどの攻撃技を磨く機会がない。しかし、「最強の格闘技」を作り上げるのに、ボクシングのテクニックは必要だ。特に、フックやアッパーなどのカーブ系パンチは、空手道ではあまり練習する機会がないので、最強の格闘技には必須。カーブ系のパンチは、視界の外からパンチがくる。そのため、パンチが来たと気づいたときには、すでに避けることができないほどパンチが接近しているのである。以前、筆者が防具付き空手の試合でボクシング経験者の選手と闘ったことがある。その際、相手はアッパーやフックを放ってくる。普段の空手の技ではなかなか見ることが少ないカーブ系のパンチなので、避けるのがストレート系のパンチよりも難しく感じた。 「立ち技最強」として名高く、パンチやキックのみならず、膝蹴り・肘打ちをも認める、かなり危険度が高い徒手格闘技。発祥国はタイ。 ムエタイはタイの国技で、度々賭けの対象にされる。そのため、八百長試合をすると、厳罰を与えられる。 ムエタイは最強の格闘技を作り上げるのに必要だ。ムエタイは、膝蹴りや肘打ちの訓練を繰り返し、試合でも頻繁に繰り出される。ただし、ムエタイそのものが最強かについては、疑問が残る。ムエタイには打撃技のみで、投げや関節技などは認められないからだ。最強に格闘技には、やはり関節技も不可欠である。 ムエタイの競技ルールを元に、日本で形成された手技足技のみ認められ、ボクシングと同様にノックアウトを目的とする徒手格闘技。両選手ともノックアウトしなかった場合は、審判の判定により勝敗を決する。 ムエタイと違い、首相撲の場面になるとレフェリーが積極的に止めに入るため、自然と打撃の応酬の場面になることが多い。そのため、立ち技格闘技の中でも、競技時には多彩な技を見かけられる。 打撃、投げ、固め技など、格闘技の中で最も技の制約が少なく、「なんでもあり」と呼ばれるルールを採用した格闘技。英語では、「Mixed Martial Arts」略してMMAと呼ばれる。 団体は、アメリカの最大手UFC(Ultimate Fighting Championship)や日本発祥で国内でもブームとなったPRIDE、STRIKEFORCE、DREAM、DEEP、CAGE FORCE、RIZINなどが挙げられる。ただし、PRIDEはスポンサー企業の相次ぐ撤退により運営が困難となり、2007年に事実上の活動終了となった。DREAMもPRIDEに次ぐ団体として出てきたが、数年で撤退となった。 総合格闘技は、先述で述べた特徴から、最強の格闘技に近い位置づけといえる。実際、PRIDEのチャンピオンのエメリヤーエンコ・ヒョードル選手は、「人類最強の男」「60億分の1の男」という称号を手にしている。 世界的カンフー映画俳優で武道家のブルース・リーが編み出した実戦格闘技。英語では、「Jeet kune do」。漢字読みでは「截拳道」。意味は、相手の攻撃(拳)を遮る・断つ(截)道。 ジークンドーは、最強の格闘技として近い位置づけにある。ただし、実践的な鍛錬である試合が、ジークンドーにはない。 20世紀前半の戦時中にイスラエルで考案された軍隊格闘術。首を掴まれた場合、ナイフや銃を向けられた場合、腕や胸ぐらを掴まれた場合など、実生活で起こりうる状況で効率的に相手を制することを重視している。 金的や目潰し、喉元への打撃、髪を引っ張る、相手の関節を砕くなど、 ロシア発祥の軍隊格闘術。クラヴマガと同様に、実生活の様々な状況を想定した実戦的格闘術であり、一般市民には護身術として広まりつつある。これも、試合がない。 システマが最強の格闘技かについては、疑問が残る。 旧ソ連で開発された軍隊格闘術。徒手軍隊格闘術として採用された護身術のことをコンバットサンボやコマンドサンボとも呼ばれている。 サンボが最強の格闘技かについては、柔道と同じ論理で疑問が残る。 土俵の上で押し合いや投げ・張り手が認められている中で、相手を土俵の外に押し出すか相手の足の裏以外の部位を土俵に付けることで勝敗を決する格闘技。他の格闘技と違い、 相撲が最強の格闘技かについては、もちろん断言はできない。 主に東南アジアで行われる武術。徒手格闘のみならず、武器による戦闘も用いられる。インドネシアでは、500を超える流派があり、技術も大きく異なる。試合では、空手のように形と組手がある。 カリ(別名:エスクリマ)と混合されることが多いが、両者は厳密には異なる。組手の試合では、突きが1点、蹴りが2点、倒す(手、膝が床に付く)と3点というポイント制で競い、1ラウンド2分×3ラウンドで、ポイントの高い選手を勝ちとする。階級制も採用している。 シラットには、初心者向けの太極拳的な健康志向の体操的な動きのものもあれば、実戦を重視した護身術も存在する。 最強の格闘技を作り上げる上で、シラットの技術は有効といえる。護身術のなかで、打撃技と関節技を合わせながら、大きなパワーを必要とせずとも相手を制することができるからだ。 空手と柔道どちらも習得するのに越したことはないが、実戦で生き残るために最低限必要な方は、空手道といえる。 投げ技は、相手に接近してからでないと技を仕掛けることができない。また、技のダメージを与えることができるのは、投げた相手を地面に叩きつける時である。すなわち、相手を投げ始めてから投げ終えるまでの間、時間がかかる。 アントニオ猪木らが主張したもの。プロレスは「打・投・極」のあるバランスがとれたオールラウンドの格闘技であり、最も実戦的で弱点が極めて少ない最強の格闘技だとする内容。その後、アントニオ猪木や高田延彦以外にも、様々なプロレスラーが総合格闘技の大会に出場して話題を呼んだ。特に、桜庭和志は総合格闘家のホイラー、ホイス、ヘンゾ、ハイアン4人のグレイシー一族に勝利し、プロレスの強さの証明及び日本の総合格闘技の発展に貢献した。 プロレスが本当に最強かについては、疑問が残る。 軍隊格闘術は、実際に殺し合いの場となっている戦地で、敵を制して生き残るために開発されたものだ。 ただし、組織にもよるが、一般に軍隊格闘術の稽古では、試合がない。つまり、いつ攻撃してくるかわからない相手を見極める「実践の勘」を養う機会が、他の武術よりも少ない。そのため、というような、なるべく実戦に近い想定のルールを作り、その上で試合をすると、「実践の勘」は養える。 実戦では、自分よりも体がはるかに大きく手足が長く俊敏な者が出てくるかもしれない。しかし、そんな相手にも勝たなければならない。 以上だ。勝負は一瞬で終わらさなければならない。この記事での冒頭に「実戦では1対1を想定」と述べたが、相手が複数人の場合は、1人の相手を制するのに時間がかかっていると、自分の体力が減り始め、他の相手に攻撃をくらう恐れがある。まず相手と対峙した際、目・喉・みぞおち・金的・膝・脛・足の甲などのいずれかの急所に打撃を正確に極める。 相手と対峙する際は、ある程度相手と距離がある。間合いをとりながら、いきなり相手の腕や髪などを掴んで投げ・絞め技を仕掛けている最中に、相手のカウンターの突きや蹴り・噛みつきを食らう恐れがある。投げや絞め技は、実際の技の効果が発揮できるのに、仕掛け始めてから少なからず時間がかかるのだ。特に、相手が巨漢の場合は、投げ技を仕掛けるのは、相手が重すぎるため難しい。巨漢が胸ぐらを掴んできた場合も、掴んでいる腕に関節技を極めるのはかなりの力がいるので困難だ。女性では、太刀打ちできないだろう。 しかし、 打撃を極めて相手がひるんだ瞬間が、相手が「無防備な状態=隙」なのだ。その瞬間を見逃さず、すぐに関節・絞め技を極める。 たとえば、以上の手順が、最も安全で正確な護身術兼実戦にて高確率で生き残れる方法といえる。 「最強の格闘技はこれだ!」と断言はできない。最強の格闘技を断定できる唯一無二の格闘技なない。 実戦にて確実に護身でき、自分以外の者も守るためには、以上で述べたそれぞれの格闘技・武術の長所を兼ね合わせる必要がある。(もちろん上記の条件が全てではない。しかし、最強の格闘技たるものを形成するには、以上のような条件を含ませることが必須)以上の段階を踏むのが、最強の格闘技を形成する確実な手順の1つである。>武術白書−どん底から世界大会優勝に至った武術家の綴りー All Rights Reserved.