英語 綴り 改革
SHARE10以上の言語と戯れるマルチリンガル(多言語話者)帰国子女。日本語とスペイン語のネイティブスピーカーで、英語はニアネイティブ。大学時代に交換留学生として1年間韓国へ留学。オンライン英会話講師のほか、中高生の受験対策指導、社会人向け個別指導など指導実績多数。スペイン語実務翻訳士。多言語学習や海外生活の記事を中心に執筆。英語学習者の皆さん、読み方は、、、申し訳ございませんが、実はこのような英単語は存在しません(笑)アイルランドのノーベル文学賞作家、ジョージ・バーナード・ショーがつまり、ghotiのghはlaugh /læf/はfの発音、oはwomen /ˈwɪmɪn/のoの発音、tiはnation /ˈne͡ɪʃən/のtiの発音。これらをそれぞれ組み合わせた結果、英語を勉強したきた人なら、などといった疑問に直面したことが一度や二度ではないのではないでしょうか。今回はこのような英語の発音の謎を、歴史と言語学を交えて解説します!スポンサーリンクContentsもともと、今でいうイギリスにはケルト語を話すケルト人が住んでいました。しかし4世紀になると、現在のドイツから低地ドイツ語を話す人たちが侵略してきたのです。ケルト語を話す人は北部へ追いやられ、当時の英語は、現代のドイツ語のように名詞に性(男性名詞、女性名詞、中性名詞)があったり、複雑な格変化(現在の英語でいうI, my, me, mineなど)がありました。その後、今度は現在のデンマークに住むデーン人が侵略してきたため、古期ノルド語(現在のスウェーデン語、ノルウェー語、デンマーク語などの起源)の影響を受けました。みなさんにおなじみのget, take, call, want, sky, husbandなどの単語は、この古期ノルド語由来とされています。ちなみにこちらで現代ドイツ語の発音について触れています次にやって来たのはノルマン・フランス語(フランス語の一方言)です。ノルマン人の王、ギヨーム一世、またの名をウィリアム一世がイギリスを征服し、現在のイギリス王室が始まったと言われています。また同時に、そしてイギリスとフランスによる百年戦争(1337-1453)以降は、フランス語は公用語としての地位を失い、英語におけるフランス語、ラテン語の流入に拍車がかかりました。そもそも英語の語彙では表現できない概念がたくさんある中、文化水準の高かったフランスからの借用語は止むを得ないものだったと言えます。政治(government,  president, parliament)法律(judge, court, attorney)ファッションやグルメ(haute couture, culotte, atelier, bouquet, cuisine)などの用語が大量に入ってきました。これらは、もともとの言語に近い発音で入ったものもあれば、イギリス流の発音で入ったものなど、様々でした。もちろん、これが英語の発音と綴り字の不一致の一因です。またこの時期には、低地ドイツ語としての特徴であった名詞の性や格変化が使われなくなり、文法は簡潔化しました。英語とフランス語の関係についてはこちらでも触れています。実はこの時代、ヨーロッパでは長らく書き言葉として話し言葉はそれぞれの国の言葉を使っても、書き言葉はラテン語、というわけです。日本でも、自国の言語を書き言葉にも使おうという時代の流れの中で、イギリスでも14世紀、英語を英語で書いて読もうという取り組みがなされました。しかし、ここに来て、英語自体の発音に大きな変化が起こります。それまで英語では、nameはナーメ、haveはハーヴェ、timeはティーメ、homeはホーメ、nowはヌー、moonはモーン、と言われていました。現代のローマ字読み、もしくはドイツ語などの読み方に近いですね。しかし、わずか200年ちょっとで、特にアクセントのある長母音に変化があったのですが、発音する際、「謎」というのは、その原因が分かっていないからです。①地方の方言が都市部で流行し、広まったという説②「正しい」発音をする上流階級や知識層が黒死病にかかり下流階級の人たちの発音が広まったという説③単にそのように発音するほうが楽なため、次第にその発音になったという説など様々です。お隣のドイツでは、宗教改革者であったルターが、それまではラテン語の聖書しかほとんどなかった時代に、はじめて自国の言語であるドイツ語で聖書を出版しました。このとき一翼を担ったのが、印刷技術の発展でした。この技術はイギリスにも渡り、それまではごく一部の知識人しか持つことのできなかった書物が、一般の庶民にも比較的安価で手にすることができるようになりました。その際、多数の方言が存在する中で、印刷場所であったロンドンで話されていた英語を基にした言葉が外国語の流入も同じく続き、特にイギリスのルネッサンス期(16-17世紀)には、知識人がまた同じくフランス語からも借用は続きました。今度はノルマン・フランス語ではなく、パリで話されていた中央フランス語(標準フランス語)からでしたが、フランスも既にラテン語・ギリシャ語の借用語があったため、イギリスには、フランス語経由のラテン語・ギリシャ語起源の単語も多く取り入れられました。結果として、これが英語に多くの同義語が存在する理由でもあります。そして18世紀ごろには、現代の英語とほとんど変わらない文法、発音、綴りになりました。・古期ノルド語、ノルマン・フランス語、ラテン語、ギリシャ語、中央フランス語など・大母音推移によって、発音が著しく変わったから。・借用語や発音の変化があったのにもかかわらず、それを18世紀以降、現代に至るまで、幾度も綴り字を発音に一致させようとする綴り字改革の動きがありました。アメリカ英語とイギリス英語の綴りが違う単語があるのは、綴り字改革の一例です。しかし多くの言語学者の難色や異論の結果、大規模な改革には至っていません。このようにして英語は、私は英語の気まぐれな綴り、好きですけどね(笑)参考文献:大森裕實(2010)「英語の綴り字改革に関する展望ーSweet / Murray / Crystal による言語学的視点スポンサーリンクemail confirmpost date日本語が含まれない投稿は無効となりますので、ご注意ください。(スパム対策)次の記事 のり&わた独学でTOEIC900点越えを達成した「のり」と、10以上の言語と戯れる生粋の語学オタク「わた」が語学の楽しさを語るサイトです。 © 2020 NCMゴガク All rights reserved.